「氷上のならず者」解説文

50才を少し過ぎた6人の大人のミュージシャンたちが、LINEをキッカケに結成したスーパーバンド“カーリングシトーンズ”が、ついにフルアルバム『氷上のならず者』をリリースする。
 ライブ用の新曲を作るために録っておいたデモを元に、今年の夏前に行なわれた追加レコーディングは、まるで“大人の修学旅行”のように楽しかったという。ドラムでもギターでもベースでも、その時、その場にいる人がプレイし、歌詞に行き詰ったら他の誰かに続きを頼んでもオッケー。信じられないほど豪華なメンバーによる、自由なコラボが繰り広げられた。

それぞれが30年前後のキャリアを持ち、深刻ぶらず、ユーモアたっぷりの音楽を作り続けてきた。そうした楽しみをライブでオーディエンスたちとシェアする。その原則はカーリングシトーンズにも活かされている。

「夏休みに友達の家でニヤニヤ笑いながら曲作りをしてた頃のことを思い出した」という寺岡シトーンの言葉が、このバンドの楽しさのすべてを言い表している。カントリーやロックンロールなどのルーツ・ミュージックのエッセンスが自然とにじみ出し、メンバーが憧れたボブ・ディランやRCサクセションなどに対するリスペクトがあふれ出す。12曲なのに、その倍くらい聴いた満足感がある。

 ルーツをしっかり押さえつつ、6人ならではのエンターテイメントになった。言ってみれば『氷上のならず者』は、日本を代表するロック・ミュージシャンたちが作り上げた、日本を代表するJ-ROCKアルバムだ。このならず者たちのベスト・パフォーマンスを、音楽ファンなら自分の耳で確かめてくれ!音楽評論家・平山雄一

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